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コラム

第3回

「BIMのおさらい」

BIMとは?

BIM(ビム)とは、Building Information Modelingの略で、直訳すれば「建物の情報をモデリング(構築)する」といった意味になります。Modeling(モデリング)という文字が入っているため、建物のモデリング手法あるいはモデリングするためのソフトウェアを指すイメージが先行しますが、BIMは建物の情報を統合するしくみを指すコトバであり、手法やソフトウェアだけではなく、もっと大きな概念を示すものです。

出典:日刊建設通信新聞社
「BIM BASICⅠ建築・BIMの教科書」より

BIMとCADの違いは?

BIMは当初、建築設計業務を高度化するテクノロジーとして紹介され、多くの建築関係者がCADの延長ツールとしてBIMを認識し、その利用方法を模索してきました。

しかし近年では、BIMは建物をデジタル技術でデータベース化し、建築生産プロセスを合理化するためのマネジメントツールであるという認識が進みつつあります。BIMは単にCADの延長線上にあるツールではなく、建築生産システムを根本から変革するためのしくみであるという考え方が浸透してきました。

CADは図面をデジタル化したものであり、CADソフトウェアは図面の作図を目的としたものですが、BIMはコンピュータ上に作成した建物モデルにさまざまな情報を付加した“建物データベース”です。つまり、「CADは作図のためのツール」で「BIMは建物の統合データベース」であるといえるでしょう。

BIMはコミュニケーションツール

BIM は、設計者や施工者、発注者など、建築プロジェクトの多くのステークホルダー(関係者)が、コンピュータ上に作成した建物モデルを利用して、さまざまな情報を共有するためのツールとして機能します。このとき、BIMは設計ツールではなく、コミュニケーションツールとしても機能することになります。

出典:日刊建設通信新聞社
「BIM BASICⅠ建築・BIMの教科書」より

BIM は設計者が頭のなかに思い描いた3 次元の建物を、そのままコンピュータ上に表現することができるため、設計者の意図を伝達しやすく、設計者以外の関係者は、多くの2 次元図面を見ながら竣工後の建物を想像するという煩雑な作業から解放されます。

さらに、BIM は建物の3 次元モデルのなかに多くの設計情報やコストなどの属性情報を追加した建物の統合データベースとして機能するため、設計、施工から維持管理まで、建物のライフサイクルのあらゆる工程で情報を共有し、活用できる新しいワークフローも構築することができるのです。BIM の利用によって、設計者や施工者、発注者などの関係者間で、円滑なコミュニケーションを図ることが可能になります。

BIMは第四次産業革命

19世紀にイギリスで興った第一次産業革命。製鉄、機械、造船、軍事などの産業が急拡大し、イギリスはこの産業革命によって“世界の工場”と呼ばれるほどの発展を遂げました。その原動力となったのが、蒸気機関です。ジェームス・ワットによって改良された蒸気機関は、たった1台で1,000人分の仕事をこなしたといいます。

20世紀の第二次産業革命では、石油や電力を使った大量生産によって工業社会が勃興し、私たちは近代的で豊かな生活を手に入れることができました。さらに、第三次産業革命では、コンピュータの登場やインターネットの普及によって情報社会が到来し、私たちの生活は一変しました。

そしていま、建設業界の第四次産業革命ともいうべき変革が、BIMによって動き出そうとしています。私たちがいま手にしたBIMという道具は、第一次産業革命以降、最も強力なものとなる可能性を秘めています。この新たな道具を利用して、建物を造る人も、それを使う人も、多くの人々が便利さと豊かさを享受できるよう、今こそBIM学びなおし、身近な業務にBIMを取り入れていくことが必要なのです。

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