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第10回

「シミュレーション仮説」

はじめに

このコラムは毎回建設業界の皆様に役に立つ情報を発信しています。

しかし今回は”休憩”の回です。都市伝説的な内容なので、暇なときに読んでみてください。

著名な知識人や科学者も肯定している仮説です

皆さんは「シミュレーション仮説」という言葉をご存じでしょうか?

簡単に言えば現在私たちが生きている3次元の空間+時間の時空は、さらに高次元の「知的な何か」によって創造された仮想空間の中にあるシミュレーションゲームのようなものであるという仮説です。


古くはギリシャの哲学者の言葉や仏典などにもこの仮説を示唆するような内容が存在しています。

最近では物理学者のフランク・ティプラーや哲学者のニック・ボストロムなども公式に提唱していますし、皆さんもよくご存じのイーロンマスク氏やホーキング博士も同様の理論を展開しています。(イーロンマスク氏は99%以上、ホーキング博士は50%の確率でこの世界は仮想現実の中にあると言っています。)

無理やりBIMと関連付けると

BIMの最終形であるSociety 5.0・デジタルツインの構想では私たちが存在する3次元の空間のコピーをコンピュータ内部の仮想空間に構築しようとしています。

デジタルツインの大きな目的のひとつは様々な課題を事前に発見し解決するためのシミュレーションです。

Society 5.0やデジタルツインの詳細は別のコラムを参照してください。

Society 1.0の世界で原始人が投げた動物の骨がいきなりSociety 4.0の世界の宇宙船に変化して・・・そのあとHALという名称のコンピュータが「自我」に目覚め暴走し・・・。

往年のSF映画の名作「2001年宇宙の旅」の話ですが、何のことかわからい人は映画見てください。

AIは仮想空間の住人

話しを戻しますが、人類はコンピュータ内部に現実の世界のコピーを構築しようとしています。

さらにその仮想空間の住人になるであろうAI(人工知能)は全世界にめぐらされたWebを通して豊富な知識と判断力を有し、その分野では人間の頭脳を凌ぐとも言われています。

唯一現状人間に存在し、AIにないものが「自我」です。

「自我」とは、自己意識をもとに、自分自身が独立した存在であるという認識や、自己中心的な考え、行動を指します。

自分が何者であるかの自己意識は現状のAIが認識するには難しい概念です。

仮にAIがバーチャルな空間で「自我」を持ち、自由に活動し始めたらどうなるでしょうか?

コンピュータが世界を征服するようなよくあるSFの話ではなく、すでに現実味を帯びてきており、一部の知識人からは現実世界への干渉による危険性が指摘される中、開発の一時凍結が提案されているほどです。

バーチャルな世界にいる「自我を持つAI」が自分の複製を作りコンピュータ内部で増殖して行くかもしれません。

第一世代のAIはともかく、その複製が複製を作りその複製の複製の・・・複製たちは、おそらく私たちがいる現実の世界の存在を認識することができないでしょう。

その考えから「自我」を持つAIを今の人類による開発が実現したなら、AIは仮想空間の中で自分たちの世界を構築し、自分たちの生活向上の為、いつかその世界の中にまたバーチャルな世界を構築しようとし、実現するでしょう。その中でまた「自我」を持つAI”が登場し、さらにそのAIがまた・・・・

この連鎖の理論をもとにイーロンマスク氏は私たちのこの世界がその連鎖の頂点である確率は限りなく低く、仮に「自我」を持つAIが今の人類に開発できるのであれば、私たちのこの世界が仮想空間である確率はほぼ100%だと結論づけています。

私たちの宇宙と
コンピュータ内部の仮想空間の比較

現実の宇宙(これからは世界を宇宙と呼びます。)とコンピュータによる仮想空間を比べてみましょう。

・私たちの宇宙はビッグバンで始まったといわれています。コンピュータ内部の仮想空間は、システムの起動、スイッチONではじまります。

・相対性理論で予言されたエネルギーと質量が等価であるという理論は現在常識となっています。いわゆるのE=MC2の美しい式であらわされる法則の事ですが、コンピュータ内部の仮想空間では電気エネルギーがプログラミングされた情報をもとに物質を構成しています。

・私たちの宇宙では光の速度は一定且つ最速ですが、どんなに優れたコンピュータにも処理スピードには限界があります。「電子の二重スリッド実験」や「シュレディンガーの猫の思考実験」に代表される量子力学における「状態の共存」と「観測による収束」は、コンピュータによる仮想空間においては、必要な情報以外を表示・処理しないことでコンピュータ容量の節約するメカニズムと言えます。(興味ある人はググってね)

・私たちの宇宙にはクオークや電子、光子といった波動なのか粒子なのかわからない物質の最小単位があります。コンピュータにもドットやビットなどそれ以上分解できない最小単位が存在します。また現実世界では最低温度=絶対零度が存在し零点振動はしているものの原子の振動は停止した状態です。言い方を変えれば部分的に時間の概念がなくなる世界で、言葉通りフリーズと言うことができます。

空想の世界、都市伝説と考えるのが
普通の人です

人類は有史以来(もしかしたら有史以前から)自身の知識が及ばない範囲、説明できない事を妖怪や幽霊、悪魔の仕業、そして神様や仏様などの御業に置き換えてきました。シミュレーション仮説もそれらと同じ部類なのかもしれません。

また、自然科学を突き詰めていくと哲学や宗教に行き着くとも言われています。

しかしながら私たちはSociety 5.0・デジタルツインの構想においてコンピュータ内部に現実の世界と同様の仮想空間を構築しようとしていますし、自我を持つAIもSFの中だけでの話ではなくなってきています。

それら事実を考えると、もしかしたら・・・・

“ 信じるも信じないもあなた次第です。” 失礼しましたw。

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