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コラム

第2回

「日本を揺るがす2024年問題」

2024年問題とは?

最近よく耳にする「2024年問題」とは、2019年から順次施行が始まった「働き方改革関連法」によって引き起こされるさまざまな問題を指すコトバです。

新聞やテレビのニュースで主に取り上げられるのは、モノを運ぶトラックなど自動車運転業務に関することで、これは「物流の2024年問題」と呼ばれますが、建設業や医療従事者なども大きな影響を受けるとされ、その影響は多方面に及びます。

働き方改革関連法とは?

いま日本が直面している労働環境問題は、少子高齢化による労働人口の減少や長時間労働の慢性化、雇用形態におけるダイバーシティ(多様性)の実現など、たくさんあります。そこで政府は、ワークライフバランス(仕事と私生活の両方を充実させること)の実現のため、長時間労働の抑制や雇用形態に関わらない公正な待遇の確保などを目的として、私たちの働き方に関する法律(労働基準法や労働契約法、労働者派遣法など)を大幅に改正したのです。これが、「働き方改革関連法改正」です。今回改正された法律は、全部で30以上にもなるため、これらを全部ひっくるめて「関連法」と呼んでいるのです。

時間外労働の上限規制

今回の働き方改革関連法改正の中で、私たちの生活にもっとも影響を及ぼすとされるのが、「時間外労働の上限規制」です。特に、宅配便のドライバーなど、物流業界で働く方々には深刻な影響を与えるといわれています。時間外労働の上限規制によって、ドライバー一人当たりの走行可能距離が短くなり、長距離でモノが運べなくなると懸念されているほか、運送会社などの売上や利益の減少、トラックドライバーの収入減少、荷主企業の運賃上昇など、多くの問題が2024年にイッキに起こるのではないかと危惧されています。

法律改正の主旨は、トラックドライバーの労働環境を良くしようということであり、物流業界のホワイト化を促進する良いきっかけとなるように思われますが、コトはそう単純ではないのです。

建設業の2024年問題

2019年から順次施行が始まった働き方改革関連法ですが、物流業界と同様に建設業界も、短期間で労働環境を変えることが難しいという理由から、法律の適用に5年間の猶予を与えられていました。その期限が、2024年に迫っています。建設関連の会社は、2024年4月には働き方改革にキッチリ対応できるよう、今のうちに労働環境を整えておく必要があります。これが建設業界における「2024年問題」です。

国土交通省の施策

国土交通省は2024年問題に際し、建設業界が特に意識すべき課題は「長時間労働の是正」と「労働生産性の向上」であると指摘しています。同省が行った年間実労働時間の調査によると、2016年度における他産業の平均年間実労働時間が1720時間であったのに対し、建設業は2056時間と報告されています。現在の建設業は、従業員の残業のうえに成り立っていたわけですね。この悪しき慣習を、2024年4月までにどうやって解決したらよいのでしょうか。

国土交通省は、建設業の長時間労働を是正するための施策として、ドローンやロボットを始めとする最新のデジタル技術の活用や、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)というしくみを使って、建設ライフサイクルを根本から効率化することなどを挙げています。

同時に厚生労働省でも「建設業支援対策パッケージ」として、労働環境改善や人材育成に取り組む企業に対して助成金制度を設けるなどの対策を講じています。これは、2023年1月23日の国会で岸田総理大臣が施政方針演説として掲げた「リスキリング」というものです。リスキリングとは、技術革新やビジネスモデルの変化に柔軟かつ迅速に対応するため、新しい知識やスキルを学ぶことで、多くの場合デジタル技術の取得に対して使われています。

2024年問題はまったナシ

2024年問題を解決する切り札として、物流業では配車や配送計画のデジタル化が進められています。デジタル技術を活用することで、圧倒的に業務の効率化を図ることができます。協栄産業には、タクシー業トータルシステム「KTS for Cloud」をはじめとした多くの物流関連ソリューションがラインナップされています。

建設業では、調査や測量、設計、施工、検査、維持管理などの建設ライフサイクル全体でデジタルツールの活用を促進する「i-Construction」プロジェクトを通して、2025年までに従来比で生産性を2割向上させるという高い目標を国土交通省が掲げています。こちらの切り札は、BIMです。協栄産業では、BIMモデルを活用した積算・見積業務の効率化ツールなど、多くの業務効率化ツールを取り揃えています。

2024年は、もうすぐそこまで来ています。自社の働き方改革を阻害している要因を早急に洗い出し、いまできるところから業務改善を進めないと、もう時間がありません。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現は、身近な業務のデジタル化から始まります(コラム 第1回目)。2024年を笑顔で迎えることができるよう、みなさんも今日から対策を始めませんか。

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