コラム
第46回
【シリーズ】
古代文明に学ぶ課題解決 -1-
「先人たちの叡智と
新生『建設事業部』の未来」
時を超える建設のロマン!古代文明の建設プロジェクト
2026年4月、新年度がスタートしました。今月から「BIM図面審査」が始まるなど、建設業界のDXはかつてないスピードで新たなステージへと進み始めています。
新年度の始まりにあたり、このコラムも少しスケールの大きな話をしたいと思います。テーマは「古代文明の建設プロジェクト」です。
先人たちは、いかにして「困難」を乗り越えたのか?
現代の私たちが目を奪われる古代の巨大建造物や都市計画は、決して魔法で作られたわけではありません。そこには、想像を絶する「困難」と、それを乗り越えるための先人たちの驚くべき知恵と新技術がありました。
たとえば、エジプトの大ピラミッド。あの巨大な石材を寸分の狂いもなく積み上げるため、彼らは基礎の水平出しに「水」を張った溝を利用し、現代のレーザー測量にも匹敵する恐るべき精度を実現しました。
旧約聖書でバベルの塔として描かれているメソポタミアのジッグラト(聖塔)は、石材が極端に不足する土地柄でしたが、彼らは日干しレンガと「天然アスファルト」を接着・防水材として用いるという、現在でも使われる最先端の化学技術でこれを克服し、泥の地から天を突く巨塔を築き上げたのです。
そして、古代ローマの水道橋。数十キロ先の水源から街まで「一定の勾配で水を運ぶ」という超難題に対し、堅牢な「アーチ構造」と、水中でも硬化する新素材「ローマン・コンクリート(火山灰を利用)」を開発し、深い谷をも越える長距離インフラを完成させました。
限られた環境の中で課題に立ち向かった、先人たちの卓越した技術と執念には、本当に驚かされます。人類の歴史は、困難な建設プロジェクトを克服してきた歴史そのものと言っても過言ではありません。
21世紀の建設業界が直面する「新たな困難」
時計の針を21世紀の現在に進めてみましょう。私たちもまた、先人たちに負けないほどの、いや、ある意味ではそれ以上に複雑で深刻な「新たな困難」に直面しています。
一つ目は「深刻な人手不足」です。
国土交通省や厚生労働省が公表している直近のデータによれば、現在の建設投資額はバブル期ピーク時の約90%水準にまで回復を見せています。しかしその一方で、現場を支える建設業就業者数、とりわけ若手を中心とした実働の「担い手」の数は、バブル期の半分程度にまで激減してしまっているのが現実です。仕事量は戻っているのに、人がいない。現場の一人ひとりにのしかかる負担は、過去の比ではありません。
二つ目は「資材価格の異常な高騰と供給不安」です。
長引く円安や人件費の高騰に加え、今年に入ってから激化する中東情勢に伴う「ホルムズ海峡の封鎖」が、日本の建設業界に深刻な追い打ちをかけています。報道でも連日伝えられている通り、原油価格の高騰により、重機を動かす燃料費はもちろん、塩化ビニール管、断熱材、塗料といった石油由来の建築資材の価格暴騰と「供給停止」が同時に発生する未曾有の事態が進行しています。
そして三つ目は、「避けては通れない業界構造の変革(DX・GX革命)と、私たちの意識改革」です。
まさに今月(2026年4月)から、確認申請における「BIM図面審査」がスタートしました。さらに3年後の2029年には、より高度な「BIMデータ審査」への移行も控えています。加えて、昨今のAIの急速な進展は、これまでの属人的な業務プロセスを根底から覆そうとしています。
BIMやAIは「一部の先進的な企業が使う特別なツール」ではなく、環境問題(GX)への対応も含め、建設業界で生き残るための「標準インフラ」へと変わりました。新しいツールを単に導入するだけでなく、旧態依然とした業界の常識を疑い、自らの働き方を根本から変えていく私たち自身の「意識改革」こそが、最も高く、かつ乗り越えなければならない壁と言えるでしょう。
もはや、これまでのやり方や現場の気合だけで、この「人とモノの枯渇」、そして「急激なデジタル化の波」という壁を乗り越えることは不可能です。しかし、現代の私たちには、古代の王たちも持っていなかった強力な武器があります。それが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」であり、「BIM」や「AI」といったデータとテクノロジーの力です。
新連載スタート!「古代文明 × 建設DX」
先人たちが知恵で困難を乗り越えたように、私たちもテクノロジーで未来を築いていく。そんな想いを込めて、今年度からのコラム KYOEI Lab.は新企画【古代文明の叡智に学ぶ!現代の課題解決】をシリーズで連載いたします。
第47回:神の怒りか、情報伝達の失敗か?「バベルの塔」の頓挫と共通言語BIM
第48回:4500年前のパーフェクト・シティ!「モヘンジョダロ」の超絶インフラと維持管理DX
第49回:砂漠か密林か…謎多き「巨大ピラミッド」建設を支えた、究極のプロジェクト管理と積算技術
新年度のコラムでは、皆様の知的好奇心を刺激する古代のロマンと、最新の実務ノウハウを掛け合わせた内容をお届けしていく予定です。お楽しみに!
協栄産業「建設事業部」の新たな船出
かつて、本コラムの第4回で「イースター島の悲劇」を例に環境問題について皆さんと一緒に学びました。彼らは高度な巨石文明を持ちながらも、森を伐採し尽くすという「地球環境への対応」ができず、自ら文明の崩壊を招いてしまいました。
私たち現代の建設業界は、決して同じ過ちを繰り返してはなりません。
最新のテクノロジーを駆使し、皆様と共に建設業界の困難を解決して未来を切り開いていきたい。その強い願いと決意を込めて、この2026年4月より、協栄産業の建設部門は「新生・建設事業部」として新たなスタートを切りました。製販一体の組織で、「つくる」ところから「届ける」ところまで、建設業界に向き合う専門集団が目標です。
新生・建設事業部は、イースター島のような悲劇が二度と起こらないよう、積算ソフト「FKS」による緻密なコスト管理と、BIMによるデータ連携で資源の無駄をなくし、地球環境と共存する持続可能なインフラ構築を目指します。
先人たちの叡智に学び、現代のDXで困難を乗り越える。新生・建設事業部は、皆様と一緒に、サステナブルで希望に満ちた新しい建設業界の未来を創っていけることを楽しみにしています!今年度も、協栄産業をどうぞよろしくお願いいたします。