コラム
第52回
「AIとDXが変える
維持管理の未来」
「壊れてから直す」ではもう間に合わない?
前回のコラムでは、国土交通省が推進するBIM政策の最終目的地である「デジタルツイン社会」について紐解きました。
その中で、これからの建設業は「建物を完成させて終わり」ではなく、「引き渡してからがデータを活用する本当の本番である」とお伝えしました。そんな中、今改めて重要視されているのが「維持管理」です。
実際、日本では高度経済成長期以降に建てられた多くの建築物やインフラが一斉に老朽化を迎える一方、現場を支える技術者の不足は深刻さを極めています。さらに、脱炭素や環境負荷低減(GX)が求められる現代において、「スクラップ&ビルド(壊して建て替える)」から「良いものを長く大切に使う」というサステナブルな社会への転換は、業界全体の至上命題となっています。
そこで今、かつてないほど熱い視線が注がれているのが、建物の寿命と資産価値を左右する「維持管理」の領域です。
「維持管理」と「メンテナンス」の決定的な違い
普段の業務の中で、皆さんは「維持管理」と「メンテナンス」という言葉を同じような意味で使っていないでしょうか?実はこの2つには、明確な役割の違いがあります。
これを「人間の健康」に例えると、非常にイメージしやすくなります。
日々の栄養バランスを考え、毎年定期的に健康診断を受けて体調をコントロールするのが「維持管理」。一方で、痛くなった虫歯を歯医者さんで治療したり、すりむいた怪我の手当てをしたりするのが「メンテナンス」です。
どれだけ腕の良いお医者さん(メンテナンス職人)がいても、日頃の健康管理(維持管理の計画)がずさんであれば、ある日突然、大病を患ってしまいます。建物もこれと全く同じなのです。
現場を悩ませる「維持管理・3つの壁」
建物の寿命を延ばし、将来的な修繕コスト(ライフサイクルコスト:LCC)を抑えるために不可欠な維持管理ですが、いざ徹底しようとすると、多くの現場が「3つの大きな壁」に直面します。
① コスト(お金)の壁:建物や無数の設備を定期的に点検し、計画的に修繕していくには継続的な費用が発生します。
② 時間と手間の壁:日常点検の立ち会い、膨大な紙図面やExcel台帳からの情報探し、そして点検後の報告書作成など、担当者には山のような事務作業がのしかかります。
③ 担い手(人材)の壁:建物の構造や設備のクセを見抜き、適切な修繕計画を立てるには、高度な専門知識と経験を持った技術者が必要です。
一言で言えば、維持管理とは「お金・時間・人手がかかる、重要だけれど現場の負担が極めて重い業務」なのです。
しかし、だからといってこれを後回しにすれば、設備の突然のストップや重大な事故、さらには莫大な緊急修繕費用の発生という、取り返しのつかない事態を招いてしまいます。
現場で集め、「FM-Integration」でつなぎ、AIで予測する
では、限られた予算と少ない人数で、この壁をどう乗り越えればよいのでしょうか?
ズバリ、その突破口となるのが、前回もお話しした「現場起点のDXツール」と「AI技術」によるデータ連携です。
ここで一つ、非常に重要なポイントがあります。それは、「ただ現場のデータを集めただけでは、AIは能力を発揮できない」ということです。
過去の第48回コラム(モヘンジョダロ編)でも触れた通り、図面や点検記録が部署ごとにバラバラに散らばっていたり、表記が統一されていなかったりする状態では、いかに優秀なAIといえども正しい分析は不可能です。
AIという「賢い頭脳」を動かすためには、まず質の高いデータを整理して蓄える「強固な土台(データ基盤)」が不可欠になります。その中核を担うのが、協栄産業の維持管理ソリューション「FM-Integration」です。そして、これからの維持管理DXは、次の3つのステップで進化します。
「事後対応型」から「予防保全型」へ、未来への第一歩を!
老朽化施設のさらなる増加と担い手不足が進むこれからの時代、ベテラン技術者の「経験と勘」だけに頼る管理には限界があります。私たちが目指すべきは、蓄積されたデータに基づいて的確に判断を下す新しい維持管理の姿です。
設備が壊れてから慌てて修理に走る「事後対応型(事後保全)」から、データとAIで先手を打ち、壊れる前に計画的にケアする「予防保全型」へ。
建物を「つくる」だけでなく、データを「つないで育てる」ことで、建築物の価値は数十年先まで輝き続けます。AIとDXを活用した新しい維持管理への第一歩を、今こそ踏み出してみませんか?
私たち協栄産業「建設事業部」は、頼れるデータ基盤「FM-Integration」をはじめとするトータルソリューションで、皆様のその「第一歩」を全力でサポートいたします!