ヤマサ醤油株式会社

ヤマサ醤油株式会社様

1日1,000件超える受注を、正確かつスピーディーに運用するために。

醤油メーカーとして全国シェア2位、テレビCMでもおなじみの同社。看板商品である「ヤマサしょうゆ」や「ヤマサ昆布つゆ」など、日本のキッチンに広く浸透した商品群は、もはや説明不要です。 ちなみに、その創業はなんと今から370年前。江戸時代初期にあたる1645年(天保2年)というから驚きです。 現在では、醤油やつゆ、ポン酢といった各種調味料にくわえ、医薬品類の製造販売も行うなど、業務範囲は拡充の一途をたどっています。

そんな同社において、繁忙期では1日に1,000件を超えるというFAX受注を一手に管理・運用するのが、千葉県銚子市にある受注センターです。「業務の標準化」「ヒューマンエラーの削減」「生産性の向上」といった課題をクリアするため、2010年に検討を開始し、他社を含む複数のシステムをコンペにかけた上で、2013年に『FAX自動返信システム KYOEI RFOPと自動印刷システム』(以下、『KYOEI RFOP』)を導入しました。その後、どういった業務改善が行われ、またどういった課題が見えてきたのでしょうか。

まずは実際に受注業務に携わる受注センター課長である大高氏と同主任の臼井氏に、さらに、システム導入時に指揮をとられた情報システム管理室長の網谷氏に、話をうかがいました。

受注業務は時間との戦い。『KYOEI RFOP』導入で、生産性が向上しました。
ーー現状の業務体制を教えてください。
大高様(以下敬称略):2003年10月より、全国の複数箇所で行っていた受注業務を、ひとつの拠点で受けるようになりました。受注注文の比率は、オンラインが65%に対して、FAXは35%。エリア別、業態別に6チーム、計14人のスタッフで、それらすべての受注業務を回しております。
臼井様(以下敬称略):各エリアが2~3名の体制ですので、以前はお休みが取りにくい状態でしたね。特にお子さんを持つお母さんが多く、急な休みもとりにくかったのですが、2013年に御社の『KYOEI RFOP』を導入した後は、その部分がまず解消されて、労務の軽減に成功、年休消化率も上がりました。特にリファックスは、自動じゃないととても面倒な作業。導入によって作業にかかる時間が短縮されれば……と思っていましたが、それ以上の効果がありました。トラブルもなく、助かっています。
大高:1日のFAX注文数は、平均して720件。多い時には1,200件を超えることもあります。月に換算すると15,000件、年間だと18万になります。さらにオンラインを含めると43万件。オンラインでの〆時間を過ぎた注文がFAXで来ることもあります。
ーーオンラインとFAXの比率の推移はどうですか?
大高:現在、全社を挙げて「ヒューマンエラーをなくす」「オンライン率を高める」という2つの目標に取り組んでいます。大手の問屋さんはほとんどがEDI(=Electronic Data Interchange:電子データ交換)への移行が済みましたが、業務用の問屋さんは、まだまだFAXが多い。オンライン化に関しては継続して促進中です。
ーーFAXの場合、どういったデメリットがあるんですか?
大高:まず、判別しにくいものがあるので、それが入力ミスにならないように気を遣う必要があります。また、受注をしてから出荷場所である物流センターに転送するのですが、そこは時間との戦い。スピーディーに、かつ正確に受注データを転送しなければなりません。その点で、『KYOEI RFOP』を導入して、オペレーション時間が短縮したので非常に助かっていますね。
臼井:そうですね。あと、『KYOEI RFOP』の導入までは、FAXの受注先と納品先の2箇所の得意先コードを調べて入力しなければいけなかったのですが、現在は受注先の得意先コードがFAXに表示されるので、それを調べる必要がありません。また、受注後に自動ですぐに返信されるようになったのも大きいですね。忙しい時には時間を空けてまとめてリファックスを行うことがあったのですが、それが即時対応になり、お客さまから「FAXが届きましたか?」という問い合わせがなくなりました。その電話対応がないだけで、処理時間がかなり短縮できています。
ーーシステム導入で苦労されたことは?
臼井:はい、マスター構築ですね。最初の1~2ヶ月はFAX番号の新規マスター登録件数も多かったです。もちろん、今でも1日に4~5件はあります。その紐付けを先にしておけば、その都度、仕分け作業をする手間は減っていきますから。あと、自動発注の発注書を見て、そこにリファックスをしてしまい、他のお客さまのところに関係のない発注書が来ていると電話をいただいたこともありました。そこで自動発注とそうでないものを切り分ける作業をしました。そのスタートの時も大変でしたね。事前に登録したものもありましたが、それ以外の紐付け作業に1~2ヶ月はかかったと思います。
食品業界に精通しているのが、決め手。
大高:情報システム管理室主導で『KYOEI RFOP』を選んだ理由は、機能の割に非常にリーズナブルであったと。あとは、食品業界への実績。代理店制度の実情などをよく分かっているということが決め手との事でした。
臼井:そうですね。例えば、同じ納入先でも複数の問屋さんを持っていることもあります。モノによってはこの問屋さんから、年に一度はこっちの問屋さんから……ということもあって、そういったことをよく理解してくださっています。
ーー今後の課題はありますか?
大高:まずは判別しにくいFAXへの対応です。それを判別して入力しないといけないので、受注トラブルにつながります。あと、例えば「醤油 1.8」とだけしか書かれていないケースもあります。同じ1.8リットルの醤油でも、瓶もあればハンディボトルもありますし、濃口、減塩、甘口など、種類もたくさんあります。
臼井:「1.8」なのか「18」なのか、「この点は汚れかも?」……と、いろいろとひっかけネタもありまして。
大高:それに、FAX用紙のフォーマットもそれぞれにバラバラ。もちろん、弊社の受注用FAX用紙があって、なるべくそれを活用するように営業の方からお願いはしてもらっているのですが、すぐに変えてもらうのも難しく、なかなか進まない状況です。
ーーわかりました。当社ではお客様毎に個別の情報を管理している事例等もありますので、今後ご提案させて頂きます。
システムはあくまでツール。本当の業務改革はこれから。
ーーここからは網谷様にシステム担当者として苦労した点などを伺いたいのですが……
網谷様(以下敬称略):御社の『KYOEI RFOP』導入以前の受注センターは、エリア別に受注業務を進めていました。つまり、エリアごとに専任のオペレーターが配置されている状態です。そこが一番の問題でしたね。機材や人材が、すべてエリアに紐付いているわけですから。それをクリアするための最初のミッションとして、まずエリアごとだったFAXの集約化を目論みました。つまりは、回線やFAX機、複合機の削減です。ただ、一台のFAXにすべての注文が来てしまうと仕分けに膨大な時間がかかるという問題があります。それもあって、これまでエリア制を敷いていたわけですから。
ーーそこから、自動仕分け機能システムの導入に至ったわけですね。
網谷:はい。受信したFAXにエリア番号を振ることで、業務が共通化・体系化されて、誰でも仕分けができるようになりました。誰でもできるということは、例えばスタッフが急に病気になって休んだとしても、他のスタッフがカバーできるというメリットが生じます。
ーーでは、導入によって、実際にもたらされた効果は、どういった部分ですか?
網谷:やはり、回線の削減とFAXの削減、さらにリファックスにかかる工数の削減ですね。それによって時間が短縮され、他の業務に時間を割くことができます。その時間をいかに使っていくか。本当の業務改革はこれからなんです。
ーー確かに弊社のシステムは、あくまで業務改革のきっかけというか、ツールに過ぎないので、導入したからといって、受注業務が簡略化できるかというと、そうではありません。
“全体最適”の発想で、圧倒的な業務効率化を。
ーー導入の際、網谷様には、現場スタッフの方々と、我々の間に立っていただき、かなり尽力していただきました。通常の場合だと「あれもやりたい」「これもできるように」……と、現場からの要望がどんどん出てきて、それを私たちがいったん受ける。その精査に時間がけっこうかかることが多々あります。ただ、御社の場合は、そこの部分がかなりスムーズにいきました。おそらく網谷さまに調整していただいたおかげかと……。
網谷:すべてにおいて、部分最適の発想ではなくて、全体最適の発想で取り組んでいるので、受注センターだけがメリットを享受するのではなく、「もう一歩、こういうアプローチをすれば、営業まで展開できるよ」といったような提案をするようにしています。例えば、今までなら受注したFAXをリアルタイムで営業担当は見ることができなかった。それを受注センターと営業担当が同時に見られるようにすれば、営業から受注センターに問い合わせる手間が削減されますから、圧倒的な業務の効率化につながりました。
ーー「あなたが取引した結果、きちんとFAXが届いていますよ」っていうのが、営業担当にも見えるわけですもんね。
網谷:そうなんです。それができないから、これまでは営業から「お客さまから、○○の受注、来てる?」という電話を受注センターに入れて、センターのスタッフが、ガタガタガタと調べ始めて……、みたいな状況がありました。そういう意味では、我々がエンドユーザーとなるシステム構築においては、単に請け負うだけじゃなくて、提案もできるようにならないといけない。そのためにそれぞれの業務の内容をしっかりと把握しておかないとダメですね。
ーーマスター構築においては、最初の1か月は辛かったとおっしゃっていましたね。特に紐付けの作業が大変だと。
網谷:でも、それくらいの期間で完了したのは、早い方じゃないかと思います。もう一点、決め手となったのは協栄産業さんが、食品業界の慣習をよくご存知だったことです。仕組みとしては、FAXを受信しているだけなんですが、やはりマスターの構築に関しては、食品業界に特化した機能が必要になる部分もあります。導入してみたら「え? それも備わっているの?」「これにも入っているの?」って。
ーーありがとうございます。私どもシステム販売当初は、そういった部分も整っていませんでしたが、かれこれ20年、いろいろと勉強させていただきながらやってきました。
網谷:これまでの他社のシステム導入では、割に合わない感じもあったんですが、今回はかなり精度の高い完成品に近いシステムを入れられた感じがあります。是非、“ユーザー会”、やりましょうよ。カンファレンスみたいな感じで有意義なものになると思いますよ。
ーーそうですね。ユーザー様同士での情報交換として懇親会もできればいいかもしれませんね(笑)
千葉県銚子市新生町2-10-1
http://www.yamasa.com

<創  業>  正保2年(1645年)
<事業内容>  醤油、各種調味料、医薬品の製造・販売

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