コラム③ カスタムICが製品の小型化を実現する
コンパクトな筐体の中に、より多くの価値を
1. 小型化は“製品競争力”を左右する
私たちが日常的に使うスマートフォン、スマートウォッチ、ワイヤレスイヤホン――これらの製品には共通点があります。
それは、手のひらや耳元という限られたスペースに、数多くの機能を詰め込んでいること。
製品の用途が多様化し、ユーザーからの機能要求が高まる中で、設計者が直面するのが**“スペース制約”という課題**です。
基板上の実装面積が確保できなければ、小型軽量化も、機能追加もままなりません。
そこで重要な役割を果たすのが、**機能統合を可能にする「カスタムIC」**です。
2. 小型化の具体的メリット
① スペースを最大限活用できる
定型部品を複数搭載する代わりに、1チップに機能を集約することで、基板面積を30~80%以上削減できる場合があります。その結果、デザインの自由度が高まり、さらなる薄型・軽量化が可能になります。
② 省電力設計と放熱性の向上
チップ内部での回路最適化によって、従来の部品構成よりも電力ロスが抑えられます。
結果的にバッテリー駆動時間が延び、モバイル/ウェアラブルデバイスの差別化につながります。
③ 追加機能の実装が容易に
空いた基板スペースを活用し、センサーや無線モジュールなどの新規機能を柔軟に追加できます。
「本体サイズをそのままに、中身だけ進化させる」――そんな要望にも応えられます。
④ 製品のデザイン性向上と市場価値アップ
薄型デバイスやスマートな筐体構造は、見た目の美しさだけでなく、ユーザー価値そのものにも直結。製品のブランドイメージ向上にも寄与します。
3. カスタムIC化の導入事例
第二回で挙げたお客様の場合では、従来は複数の標準部品を使用しており、小型化がネックになっていました。
そこでカスタムICを導入した結果、以下のようなメリットが得られました。
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据え置き型の筐体からハンディ型へ
従来は机上設置が前提となっていた装置を、大幅な基板サイズ縮小によって片手で持てるサイズにダウンサイジング。
“屋内専用”だった製品が“現場で持ち歩いて使用できるツール”に生まれ変わり、新たな用途や市場が開拓されました。
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電池駆動の実現
単体では消費電力が大きかった複数部品を統合することで、電力ロスの最適化に成功。
その結果、電源ケーブル不要のバッテリー動作が可能になり、屋外使用やポータブル用途への展開が加速されました。
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耐衝撃性能の向上
従来は基板全体が部品で密集しており、物理的ストレスに弱い構造でしたが、カスタムICへの集約で内部スペースに余裕が生まれました。
部品どうしのクリアランス確保や基板補強が可能になり、輸送中や使用時の落下衝撃に対する耐久性が向上しました。
このように、カスタムICによる小型化は“ただ縮む”にとどまらず、製品の利用シーンや市場を拡張する力を持っています。
4. 「小型化=競争力アップ」 カスタムICが拓く新たな製品設計
カスタムICによる小型化には、設計・製造の両面で最適な統合バランスを検討することが欠かせません。
弊社では、お客様の回路構成や筐体要件を踏まえた上で:
- 現実的な設計範囲の見極め
- 熱設計や電源制御の配慮
- 将来の仕様変更にも耐えうる構成案
といった点を含めた小型化戦略をご提案いたします。
5. 次回予告:「カスタムICでトータルコストを削減する方法」
小型化や省電力化だけではありません。
開発コスト/製造コスト/保守のしやすさ
カスタムICは“コスト最適化ツール”としても活用できます。次回はその具体的手法を紐解きます。
カスタムIC化は、製品設計の進化と競争力向上の鍵です。
協栄産業のICターンキーサービスをご利用いただき、次世代の製品開発を共に実現しませんか?
こんなご質問やご相談にもお答えします。
・カスタムICについて、詳しく教えてください。
・IC化出来るか分からないが相談に乗ってもらえるの?
・今のディスクリートの回路をIC化するとどれくらいコストメリットが出るの?
・開発費ってどのくらいかかるの?
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等、お問い合わせはこちらからお気軽にどうぞ。
品川シーサイドキャナルタワー



